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シャン州をさまよった女流作家 曾焔の伝奇小説 ジャーディーと彼の娘 (4)

 
 辛いせいか、彼は食べながらすーはーすーはーと息をしている。この様子に私の娘たちはじっとしていられず、碗も箸も置いて家を飛び出して彼の前にしゃがみ込んで、彼が冷麺を食べる様子を楽しそうに見ている。

 私も気になったので、出て行って、

「ジャーディー、やっぱり辛すぎるんじゃないかしら?」と聞いた。

 彼は唐辛子のせいで耳たぶまで真っ赤になり、汗でびしょびしょになりながらも、まるで何ともないかのように装って首を横に振り続け、

「おいしいです。辛くない、辛くない」と繰り返した。

 「アカ族の人はみんな、辛いものが大好きなんでしょう?」

私は知ったかぶりをして尋ねたが、一方で、もしもあまりにも辛すぎるようならば、彼の冷麺を辛くないものに交換してあげようと思っていた。

 ジャーディーは唇をすーすー吸っていて、なかなかぴったりと合わない。だが彼は相変わらずにこにこしたまま、しきりに首を振りながらがつがつ食べ続けている。その滑稽な様子には、私と娘たちは堪えきれなくなって思わず大笑いしてしまったのだった。そして、当のジャーディーも私たちと共に笑っている。

 娘たちは心配そうに、「お母さん、このアカ族のおじちゃん、辛さで死んじゃうよ!」などと言っている。

 それを聞いたジャーディーは、とんでもないと手を振りながら、これは彼が生まれてから今までに食べた冷麺のうちで、最も辛いけれども、同時に最もおいしい冷麺なのですと答えた。この木訥とした山岳民族人には私の好意が伝わっているようであった。

 それにしても、怠けるということを知らない彼の仕事ぶりは、本当に大したものであった。わずか半日あまりの時間内に、彼はすべての雑草をきれいに刈り終えていて、庭の敷地には一本の雑草すら見えないのであった。その上、雑草を刈り終えた場所はどこもきれいに整地されており、とてもさっぱりとした風景になっていて、見る者に軽やかな快適さをもたらしてくれるようであった。

 時間を見るとまだずいぶん早かった。ジャーディーは自発的に家の後ろ側と厨房の回りの溝をきれいに掘ってくれた。こうしておけば、大雨が降っても雨水が建物の方に入り込むことはない。

 夕食を食べたあと、私は家にあった大人物と子供用の古着を一山取り出してきて、ジャーディーに贈った。そして、約束の手間賃に十バーツを上乗せして支払った。だが、ジャーディーは草を刈っているときに、私たちが捨ててそのまま放置してあった、割れた皿や、蓋のないアルミ鍋、そして、缶入り粉乳の箱を見つけていた。つまり、それらを持って帰りたいと言うことなのだが、彼はわざわざ私に、そうしたものを持って帰ってもいいかどうかと尋ねるのであった。しかし、こんなことをわざわざ尋ねる人がいるだろうか。それを聞いた私は、より新しくて大きなビスケットの箱と、粉乳の缶をあげることにした。さらに石けん、マッチ、そして漬物を持たせることにした。

 ジャーディーは喜んでいるようだが、その様子はただ口を開けて笑っているだけである。彼はこれらの贈り物を大きなビニール袋に放り込むと、鋤に引っかけて肩に担いだ。そして嬉しそうに帰って行ったのであった。


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