シャン州をさまよった女流作家 曾焔の伝奇小説 ジャーディーと彼の娘 (1)

 
 季節は雨季に入った。このメーサロンでは、生えてくる雑草はあっという間に伸びて、十日や半月に一度は草刈りをしなければ、家の周囲の空き地には膝丈ぐらいの雑草がびっしりと生えてしまう。もっとも、こうした雑草自体はそれほど気にすることもない。だが、毒蛇や毒虫がこの中に隠れているせいで、この雑草こそが「悪の巣窟」のように思えてくるのだ。そして私にはこのことがとても煩わしいのであった。

 そんなわけで、空き時間ができると、私はいつもズボンの裾を捲ってゴム長靴を履き、自ら鎌を振るってこの煩わしい雑草どもを刈り取るのであった。だが、気の赴くままに本を読んだり文章を書いていたりするうちに、家事もついおろそかになることもある。そんなときは、この伸び放題の雑草に手を付けることなど、私にはとてもできなくなってくるのだ。

 あるとき、勝手口のあたりに雑草がぼうぼうに伸びたままにしていたため、私はもう少しで、黒い身体で赤い首をした毒蛇を踏みつけるところであった。だが幸いにも間一髪のところでこの蛇に気付き、毒蛇のいらぬ口吻を受けずに済んだのであった。また、その草地にはしっぽの長いコオロギがたびたび出現しては、二人の子供たちに悲鳴を上げさせていたし、あるときなどは、一尺はあろうかという、とんでもない長さの蜈蚣まで出てきたことがある。この蜈蚣は伸びきった雑草の下の方から這い出てきて、竹垣をするりと抜け、物音も立てずに我が家の竈の近くに隠れている。そして、あるとき突然姿を現しては人を死ぬほど驚かせるのだ。さらに嫌なのは、皮膚にアレルギーを起こす毛虫である。濃く茂ったデイゴの枝の上から降りてきて、知らぬ間に蚊帳や毛布の中に潜んでいる。これに刺されると、大人も子供も痛痒い湿疹を引き起こす。

 そのため、庭の手入れは常に怠ることはできない。雑草を刈り取り、竹垣のそばまでものすごい勢いで伸びてくるデイゴの枝を刈り、そうした招かれざる客が現れるのをなんとかして防ぐ必要があったのだ。

 だが、このメーサロンで、この種の作業員を探してくるのは非常に頭の痛い仕事であった。勤勉な中国人を捜そうとすると、彼らは自分の土地だけでじゅうぶん忙しくて手が離せず、よその家を手伝う暇などほとんどない。しかし、当地土着の山岳民族にこの仕事をやらせると、多くの場合、その仕事ぶりには怒りを抑えることができない。中国人たちとともに暮らしている土着民族に到っては、中国人の狡賢い部分だけをしっかり学び取っているような具合で、また、多くは阿片吸引者である。そしてこの連中やる気のなさといえば折り紙付きであった。ちょっとだけ真面目に働いたかのように見せたかと思うと、あとは大空の下、麻袋を枕にして眠りこけている。隙を見てはこそこそと家に戻って一服して、その一服には何時間も費やす。人がどれほど文句を言おうが、まったくお構いなしである。一日あれば終わる仕事でも、こうした人間にやらせれば、きっと三日、五日とかかり、その上すべての作業を終わらせることなどできないだろう。

 人を呼んで雑草刈りをやらせようとすると、往々にしてこういうことになるのは目に見えているので、やはり人には頼れないのであった。万が一、この作業を仕方なくやることになったとしても、できるだけ人を呼ばず、自分自身が袖をまくって草を刈ることにしているというわけだ。

 家の周囲の雑草を見てみると、もういい加減かなり伸びきってしまっている。私自身、いくつもの仕事を同時に抱え込めない以上、仕方なく山岳民族の作業員を呼んで草を刈ってもらうことにした。たとえ三日で終わらなくても、五日で終わってくれればそれはそれで御の字なのである。

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