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シャン州をさまよった女流作家 曾焔の伝奇小説 藍色的枸閙花(ゴウナオの青い花)(11)

 
 
 私はおかげでほっと一息つくことができたのであった。彼が吐き出した血の塊から推測するに、あの謎の花の香りをたくさん吸い込むと、吸い込んだ人の体内で血液の凝固を引き起こすものと思われた。そして、ヘンリーさんはそれが原因でその場に倒れてしまったのではないだろうか。

 やがて、ヘンリーさんは目を醒ました。彼の様子は明らかに衰弱している。胸元に痛みを覚え、頭はまだふらふらしていて眼もちらついているようだ。彼は自分がどこにいるのかもわからない様子であった。

 私たちは彼にことのいきさつを告げた。だが、例の壁蝨酒のくだりはわざと伏せておいたが、それはこの件を彼に告げるのはあまりにも酷だと思ったからだ。

 可哀想なヘンリーさん。

 だが、彼が三途の川の岸まで行って、向こう側へ渡らずに生きて戻ってきたことで、私はやっとおかしさがこみ上げてきた。この誰も行かないような異国の山間で、彼は人様から間抜けと思われても仕方ないような、狐につままれたような経験をしたのであった。

 彼の様子もたしかに間抜けな人間のようであった。彼は完全に目を醒ますと、こんどは空腹を訴えだしたのであった。

 先ほどの犬は、もともと、彼らアカ族たちが私たちに食べさせようとわざわざ潰していたものであったのだ。

 この頃になると、この犬肉自身から染み出してきた脂肪分によって、その犬肉はこんがりと火が通っていた。何ともいえないいい香りがあたりの空気に立ちこめていた。

 一人のアカ族のがこの鍋を下ろし、大きめに刻んだ香菜をまぶした。竹べらでがらがらと鍋の中身をかき回すと、私たちを呼び寄せた。

 私たちは、生きていた犬が引きずり出されてからこの料理に化けるまでのすべてのいきさつを見ていたので、誰も食べようとはしなかった。

 だが、何も知らないヘンリーさんは、それには構わず、うまいうまいと褒めながら、次から次へと口に放り込み、終いには大皿に山盛りの犬肉をすべて平らげると、それはそれはとても満足そうにしていたのであった。

 彼は腹一杯食事を済ませると、腹をぽりぽり掻き、体をぐらぐらとよろけさせて、斜めになりながらも、なんとかよろよろと起ち上がった。だが、彼を崇拝する男子生徒たちにしつこくせがんで、彼をまたあの峡谷へ連れて行ってくれと頼んでいた。そして、あの奇怪な毒花をまざまざと観察して、まずは写真を撮って、アメリカに持ち帰るといって数本の花を標本にするというのであった。

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