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シャン州をさまよった女流作家 曾焔の伝奇小説 藍色的枸閙花(ゴウナオの青い花)(2)

 
 私は念を押すように、水がたっぷり張ってあるドラム缶の方を指さした。彼は振り向いて私を見ていて、その様子は私になにか聞きたがっているようだ。私は彼のリュックサックを柱に引っかけて、せわしなく水浴び小屋に入っていった。

 私が水浴び小屋に入っていくのを見た何人かの子供たちが、自分たちもとばかりにそろりそろりと近付いてきて、扉の継ぎ目から外国人の水浴びをのぞき見していた。

 子供たちがいきなり笑い出したので私はその声に驚いた。そして娘を抱いて水浴び小屋から飛び出した。

「何やってるの!のぞき見なんて失礼でしょ!」

と、腕白どもを大声で叱った。

「でも先生、見てみなよ。あのアメリカ人たらもう、見ているだけで笑い死にしそうだよ」

 この子たちにすれば、どんなことでも珍しく、そして面白いのであろう。

 だが私は、「アメリカ人が水浴びする」というだけで、それを面白がる気持ちが理解できないのであった。

 一人の子が私に声を掛けた。

「先生も見てみなよ。あのアメリカ人はパンツ履いてるから、見ても大丈夫だってば!」

 子供たちがあまりにも賑やかにしているので、私はどぎまぎしていた。外国の大男が水浴びをしているからといって、それを見てなんの意味があるのか。

「いいからこの場を離れなさい!」私は子供たちを怒鳴った。「あの人がどんなふうに水浴びしようが私たちには関係ないことでしょ。さあ、早く行きなさい!」

 子供たちはそう言われてもまだにやにやと笑っている。私が近寄っていって本気で叱ることはないと思っているのである。彼らはまだ未練がましく覗きたがった。

「先生。こっち来て見てみなよ。ねえ、こっちだよ!」

 度胸のいい一人の子供が、乾いてボロボロになっている形ばかりの扉をがつんと開けてしまった。

 あれやこれやと邪魔をされて困っている外人さんは、

「何をしますか。何をしますか!」

などと必死に抗議の声を上げていた。

 そして子供たちはさらに盛り上がって、

「先生、あの外人が水瓶の中に入ってるよ!」と叫んでいる。

 もちろん私はこの家の者であるから、その水瓶が、便所を流すために水を溜めてあるあの水瓶であることはすぐにわかったのであった。

 そして結局、私も耐えられなくなって様子を見に行った。あの外人さんは、その大きな体で水瓶の中に小さく丸まって、なんとか頑張って体に付いた泥を洗い落とそうとしているところであった。私はそれを見て危うく吹き出すところであった。しかし、腰の高さもないような水瓶であるから、彼がこうしてこの中にすっぽり入っているということは、この水瓶が割れる可能性もあったので、これはこれで危険である。




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