スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

家有安琪児(我が家に天使あり)(6)

 

 王将軍が昼寝から目覚めると、例によって窓際に立っていつものように彼が丹精込めて栽培した薔薇を眺めた。だが、どういうわけかあの青紫の花を付ける珍しい薔薇が見えないのであった。驚いた王将軍はすぐさま頭に血が上り、大癇癪を起こした。

「いったい誰がわしの薔薇の花を摘んだのだ!」

 彼はそう言いながら杖を手に庭へ出た。少し離れたところからその様子を目にした王将軍は驚いて思わず足を止めた。薔薇が植えてあるあたりの草地には、一歳ほどの白いスカートを穿いた太った幼児が座っている。その幼児はちょうど彼が大切にしていた薔薇を調理しているところであった。そしてその幼児は王将軍を見ると、嬉しそうに笑いかけ、見ているだけで気持ちが落ち込みそうになる薔薇の花びらを掴んで、まるで友達のように王将軍に声をかけた。

「こっちよおじさん。ごはんですよ、さあ食べて!」

 王将軍は泣くに泣けず笑うこともできず、仕方なく首を振って笑顔を浮かべた。そして杖を肩にかけると綺綺を抱き上げて優しく語りかけた。

「この子はどこの天使ちゃんかな?とても可愛いね。まったく、天から落ちてきた小さな破壊分子の君は、私の薔薇を摘んでおかずにして食べちゃうのかな」

 宋おばさんは綺綺が何かやらかしたのを聞き、手に付いた洗剤の泡もそのままに驚いてすっ飛んできた。だが、そこには王将軍が綺綺を高い高いをして遊んでいるとこであった。綺綺の嬉しそうな笑い声は快活に空に響いていた。そして足下の草地には、その珍しい薔薇の花びらが散乱していたのであった。

 綺綺は少しずつ言葉を話すようになった。私はいつもこの子を抱いてお尻を叩きながら話しかけているのだった。

「丸々と太っちゃって、まるで冬瓜みたいねぇ」

 だが、ちょうど二歳になったときに思いがけないことが起こった。

「私のことを太っているって言わないで。冬瓜なんて呼ばないで。太った冬瓜は不細工よ!」

と言い返したのであった。

 ある日、五歳の長女が突然深刻な顔で聞いてきた。

「お母さん。私きれいかな」

 私は娘を見ながら、慈しみ深く答えた。

「きれいだわよ。ちょっと鼻が低いかもしれないけどね」

 傍らでそのやりとりを聞いていた綺綺は、さっそく後ろを振り向いて、必死に鼻を引っ張り始めた。引っ張りすぎて鼻が真っ赤になっている。私と長女はそんな綺綺を見て堪えきれずに大笑いしてしまったのであった。


家有安琪児(我が家に天使あり)(7)へ





関連記事
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

カテゴリ
Facebook Page
検索フォーム
ブログ記事一覧
プロフィール

deguchik

Author:deguchik
中国語で書かれた作品から、北タイやビルマ(ミャンマー)シャン州、黄金の三角地帯(ゴールデントライアングル)の歴史や風物を読み解いていきます。
個人のFACEBOOKページ
このサイトのFACEBOOKページ

Contact/ご連絡

Your name/お名前:
Your E-mail/メール:
Subject/件名:
Message/本文:

RSSリンクの表示
リンク
QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。