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シャン州をさまよった女流作家 曾焔の伝奇小説 阿卡花(アカ族の花)(13)

 
 扉を押しあけた私は、一言目の言葉を発し終わる前にその光景に驚かされ、ただ呆然とするしかなかった。私が見たものは、夫のアンウォーが、生まれたばかりのピンク色の嬰児を、火が煌々と燃えている囲炉裏の炭の中へと埋めている姿であったからだ。そして、囲炉裏の反対側には、すでに埋められたもう一人の嬰児の、すでに青くなった二本の足が囲炉裏の炭から飛び出している。

 またしても双子だったのか……。そして二人とも囲炉裏の炭の中に生き埋めにされてしまったのだ。草屋の中の空気には、人間を燃やしたときに発する、焦げ臭いあの独特の臭いが漂っていたのであった。

「えぇっ!あなたたち、一体何をしているの!」

 私はあまりの恐怖に顔を覆いながら叫び声を上げ、そのまま振り返ると一目散にその場を離れて駆けだした。

 私の大きな叫び声は、周辺に住む人々の耳にも入ったらしく、彼らも続々と家から出て駆けつけて来たのであった。

 アンウォーはすだれの外側にいて、その鼠のような眼を驚きでいっぱいにして、そそくさと中へ入っていった。

 |鄒冲《スイチョン》が駆け込んで、ものすごい勢いで門を蹴り開けて怒鳴りつけた。

「この気違いアカ族め!貴様らお天道様も高いうちから堂々と人殺しなんぞしおって!」

 鄒冲は怒鳴りながら、さらに草屋の奥を覗き込んでいたが、彼もまた火が盛んに燃えさかる囲炉裏の灰の中に生き埋めにされた双子の嬰児を見たのである。彼はひたすら同じ言葉を叫んでいた。

「神様、仏様。人間性のかけらもない気違いアカ族め、貴様ら自分たちのしていることがわかっているのか!」

 近所の人々も遠巻きにこの騒ぎを眺めている。そしてあの双子の嬰児を救い出すにはもうすでに手遅れであった。それに、こうした非人道的な残酷行為を眼前に、人々は誰しもそれ以上は近付こうとはしないのであった。

 アンウォーはさっさと彼らの背嚢を背負った。そして慌ただしくアイナを連れ出そうとしている。この様子を見れば、この二人が脱出を図っていることは明白であった。


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