シャン州をさまよった女流作家 曾焔の伝奇小説 人蜂大戦(6)最終回

 
 夫たちは油で揚げた蜂の子を一皿ぺろりと平らげてしまうと、どうもこれが癖になったうえにそれが収まらなくなってきているらしい。また、得がたい機会ということもあり、さらに合わせて大皿三枚の蜂の子を油で揚げ、腹一杯になって食べられなくなってから、やっと食べるのをやめた。

 たっぷり食べてたっぷり飲んで、彼ら三人はさらに「戦利品」を山分けにして一人一人持ち帰った。

 お爺さんと祥林さんが我が家を出ようとしたとき、夫の楊林はなぜかうなり声を上げだした。妻の言うことにまったく耳を貸さなかったため、こんどは罰が当たったのである。彼がうなり声のあと、首を何度かひくひくさせたかと思うと、痰壺を引き寄せるのも間に合わず、今まで食べた蜂の子を嘔吐し始めた。その散らかり様は尋常ではなく、こちらの身の毛もよだつほどであった。

 夫は吐いてはまた吐き、結局胃液まで吐き出していた。それでも胃腸の痙攣と収縮は収まらない。私はそばにいて眩暈を感じて、手足が痺れて動かなくなってきていた。

 私が見るに彼の嘔吐はすさまじく辛そうであった。だが、彼がとことんやらないと気が済まない性格であることを知っているので、特に彼を責めなかったし、嘔吐物を掃除したあとに冷水をコップ一杯ついであげた。

 ひととおりうがいをしたあと、身体を小刻みに動かし始めた。

 「畜生、痒い!死ぬほど痒い、死ぬほど痒い。骨の中まで痒くなってきた!」などと喚き散らしている。

 上下左右に前後、ところ構わず体中を狂ったように引っ掻き始めた。雷の如く怒り狂ったかと思うと、あんな蜂の子など食べるんじゃなかったなどと、こんどは自分で自分を罵っている。

 両手だけでは足りないと思ったのか、足の先でも引っ掻きだしている。さらに、身体を柱になすりつけ、擦るように掻いている。まるで一個一個の毛穴、一個一個の細胞、骨から五臓六腑に到るまで、身体中のありとあらゆる場所が痒くなってきたようであった。

 だが、こうして彼の全身が痒くなっていったのも自業自得であって、これには手の施しようがないのであった。他に方法もなく、ただ医者に診せに行く以外になかった。彼は蜂の子の食べ過ぎでまた同じようなことになった。皮膚にアレルギー症状が出てしまったのである。

 注射を打ち、薬を飲み、夫はそうして三日間を家で寝て過ごした。顔もやっと元の状態に戻ってきて、アレルギー症状も全部引いたようである。

 そして、あの三分の一の「戦利品」はどうしたのかというと、当然これはすべて捨て去ったのであった。

【人蜂大戦 完】




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