五個攢錢罐 五つの貯金箱(3)



 夜になり、豚たちはなぜか突然咬み合いを始めた。その騒ぎで夫の楊林はベッドから起き上がり、座り直すと、床板をバンバン叩きながら大声で怒鳴り始めた。「好きなだけ騒げ、もっと喚け!今に見ていろ、お前らを鉈でぶった切って、それから炙って酒の肴にしてやるからな!」

 俗に、六畜みな人の心に通ずるというらしいが、果たしてそれはやはり本当であった(六畜;馬牛羊鶏犬豚)。豚たちは夫が発する一陣の怒声に恐れおののき、あるいは彼の威風に圧倒され、騒ぎは見事に静まった。その静けさの中、豚たちがブヒブヒという息遣いが伝わってきたが、彼らが何を食べているのかはわからない。だが、まさかあんなに美味しいものを平らげていたとは。

 日が昇り、眼を覚ました私は豚の様子を見に行き、暗澹たる気持ちにさせられた。私達が苦労して育ててきたヘチマ棚は見事に押し倒されていた。棚いっぱいに見をつけていたヘチマは豚たちに蹂躙され、めちゃめちゃに食い荒らされていたのであった。まだ柔らかくて小さなヘチマは、すべて豚たちの夜食となってしまったというわけだ。

 それに、庭には小便やら大便やらが撒き散らされており、その臭気はそこいらじゅうに充満していて鼻を突く。まるで狼藉し放題といった体であった。早朝から授業がある夫は起きてきてこの情景を見た途端、唇の両端に皺を浮かべ、その皺はすぐさま八の字型に変形した。彼の怒りは頂点に達し、そのまま駈け出していくと、豚たちの尻を力いっぱい蹴り上げた。さらにいつもの毒気たっぷりの口ぶりで、「お前らを全部斬り殺して、火炙りにして酒の肴にしてやる」と、おなじみのあの言葉で豚たちをどやしつけた。

 私はとりあえず口をつぐんで夫を刺激しないようにして、後始末のことを考えていた。そして家に何人かの大工を呼んで、急ぎ豚の囲いを竹で作ってもらった。こうして五匹の豚たちは野宿の必要もなくなり、喜んで新しい住処へと入っていったのであった。

 こうして五つの貯金箱を養うことになり、人が言う「人が一日生きれば豚も一日生きる」という言葉の意味とはつまり、多くの精力を注ぎ込んで、多くの汗水を流すということを意味していることが、身にしみてわかったのであった。 



(4)へ続く




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