五個攢錢罐 五つの貯金箱 (1)



 私達は五匹の豚を飼っていた。もっとも大きいのが「聚寶盆」、丸々と太ったのは「老福爺」、とにかくたくさん食べるのは「先鋒」、他にあと二匹「注射器」と「小偸眼」がいる。

 メーサロンではみな、豚を飼うことを「貯金」と呼んでいる。そして、「貯金箱」とはつまり、豚の代名詞である。

 ある日、私は一人のおばあさんの意見に耳を傾けていた。そして、財産へとつながる道を歩むこと。その貯金箱、つまり、豚を飼うことに決めたのであった。

 おばあさんが言うには、「養豚は素晴らしい副業なのよ。食べ残したご飯や料理、食器を洗ったあとに水の中に沈んだ米粒や小さな残りかす、みんな豚に食べさせればいいの。それに、餌を買ってきて食べさせたとしても、せいぜい、三バーツか五バーツで済むし。メーサロンに住んでいるんだから、豚の餌になる草はそこいら中に生えているし、暇なときに籠いっぱいに刈り取ってくれば、その餌代もいらない。細かく切って、煮込んで、混ぜてから豚に食べさせてやればいい。

 人が一日生きれば、豚もまた一日生きる。残飯や野菜、糠など、余ったものを食べさせ続けてご覧なさい。一年半でよく肥えた豚になる。締めて売りに出せば数百どころか千バーツにもなる。そもそも、三バーツや五バーツなど、ちょっとした不注意ですぐに出ていってしまう小銭じゃないか。それに、残飯にだって値打ちが出てくるんだ。捨ててしまえばそれまでだが、これを豚にあげれば価値ある財産に変わるのよ」

 おばあさんのこの話は、確かに倹約家にとっては金科玉条のごとき素晴らしい話である。考えてみてほしい。数匹の豚を飼育して、一年かけて丸々と太らせて大きな豚にすることは、廃物利用というだけでない。小さくコツコツと積み立ていけば、やがて大金に化けることだってあるのだ。

 実はこの時、わたしの心には後悔の念が芽生えていた。どうしてもっと早くこのことに気付いて養豚を始めなかったのか。考えてみれば本当に悔しい。もっとも、今から養豚を始めたとしても遅すぎるということはない。いずれにしても、有言実行あるのみだ。そしてその日の午後、何人かのアカ族が豚を売りに来ていた。大きいの小さいの、全部で五匹いた。私は一気に引き寄せられるように、この五匹を全部買い上げていた。


(2)へ続く



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