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シャン州をさまよった女流作家 曾焔の伝奇小説 藍色的枸閙花(ゴウナオの青い花)(12)最終回

 
 
 ヘンリーさんのこうした考えには、さすがに彼がどうかしているとしか言いようがなかった。先ほどのアカ族たちも、彼のその生き死にを顧みない態度を見て怒りを抑えきれない様子であった。彼らは怒りを込めて叫び声を上げて彼を阻止した。

 一難去ったばかりのヘンリーさんは衰弱していたので、彼としては気がはやっても体力が追いつかず、結局この考えを引っ込めるしかなかった。

 だが彼はこの地に一晩留まって休み、体力が回復する明日を待ってまたあの峡谷へ向かうと言った。まったくもって、黄河を渡るまでは決して諦めないといった様子であって、これこそがアメリカ人の精神なのかと感心させられた。

 太陽はすでに西に傾いている。私たちはヘンリーさんに別れを告げると、親切にしてくれたアカ族の村人たちに礼を言い、やっとのことで家路につくことができたのだった。

 ヘンリーさんはその後メーサロンへやってくることは二度となかった。だが、私が思うに、一人の新聞記者として、彼は今回とても得難い価値ある経験をしたともいえるのではないだろうか。ただ残念なのは、彼が飲まされた壁蝨酒は、正確にはアカ族の小水であったことを告げられなかったことである。彼の報道により一層の彩りを加えることができなかったことが大変遺憾なのであった。

 彼はとても豪快な人であったから、かれがその壁蝨酒の正体を知ったとしても、この良薬を気にせず飲み干したものと信じたい。

 さて後日、私たちはその花がゴウナオと呼ばれる花であることを知った。アカ語でこのゴウナオとは、魂を吸い取る花という意味だそうである。話によれば、この花の香りをかぎ続けていると、その人は死に至ることもあるという。たとえば、蜂や蝶などがこの花に止まると即座に死に、この花の根本に落ちているらしい。

 また、この花について知っている漢人たちは、ゴウナオの花の毒に当てられた者が助かる方法などないと口を揃える。

 しかし、私はヘンリーさんのこの一件で、この花の毒を解毒する「珍しい方法」を目の当たりにすることができたのだった。だがこの「珍しい方法」を行うときは、小水を飲まされるという一種の虐待を覚悟しなければならないし、この辺り一帯で壁蝨を見つけることが難しいという問題もある。ただ、この花はそう滅多に生えているものではないから、このような事故に巻き込まれること自体が極めて希であることが、救いといえば救いであった。ちなみに、この私にしても、これ以降この花を眼にしたことはない。

 このような花は、やはり見ないで済むに越したことはないようだ。

【藍色的枸閙花(ゴウナオの青い花) 完】




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