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家有安琪児(我が家に天使あり)(9)

 
 それに、綺綺が校長の老眼鏡と帽子を身に付けるのは、すでに取り上げることもないほどに当たり前になってしまっている。それは、校長がそうさせているからであったのだから、手の施しようがなかった。

 このほかにも、校長の机の上のインク壺や茶杯をひっくり返したりするのは当たり前で、無意識のうちに噛み終わったガムを校長のズボンにくっつけてしまったこともあった。

 夫はこうした一連の「自由すぎる行為」に対して頗る反感を抱いていたようで、ことあるごとに、おまえが猫かわいがりをするから悪い子に育ったとか、この子に内面の美が欠けているのはおまえのせいだ、などと言い募った。

 それにしてもこの子はどうやら常人よりもかなり意地の強い子のようで、この頑固さを否定できないことは事実であった。それに、三歳にも満たない女の子に対して、内面の美などを問題にしたところで、所詮は単なるあら探しに過ぎないではないか。

 ある日の朝、前日の晩に雀戦で大負けしたのか、それとも外で他人との舌戦に負けたのか、夫は朝から酒をあおっていた。そしてその勢いからか、箸で皿を打ち鳴らして悲しそうな即興の歌を歌っていた。

「おうおうおう。人はいう~、早く子供を設けることは~、早く財をなすことよりもいいことだ~~。だが、おれ様楊林は~、なぜにこんな苦労を背負わなければならないのだ~~。財をなすこともできず、息子も生まれない。天よあなたは不公平だ。うまくやっている奴らは、十中八九は手に入れているというのに!おいおいおい……」

 この手の話はが夫の口から出るのは珍しいことではない。だが、私は聞くたびに産毛が逆立つ思いがしたし、いつもむかつく気持ちを抑えて何も語らないようにしていた。反論すれば、夫婦げんかの種になることがわかりきっていたからである。

 ちょうどそのとき長女がこそこそと台所の入り口にやってきた。

「お母さん。綺綺がお父さんのジーパンを繕ってるわよ。早く早く!」


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中国語で書かれた作品から、北タイやビルマ(ミャンマー)シャン州、黄金の三角地帯(ゴールデントライアングル)の歴史や風物を読み解いていきます。
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