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家有安琪児(我が家に天使あり)(7)

 
 それからというもの、我が家に来客があると、綺綺は急いで裏へ走って化粧をするのであった。まず眼の周りをアイシャドウで黒く縁取り、両頬にべったりとおしろい。口の周りは生肉を飲み込んだように赤く塗りたくっている。そしてそっと忍び寄って私たちがいるところに粋なり姿を現して、嬉しそうに、「ねえ、どう、私きれい?」と聞くのであった。

 さすがにこれにはみなが大笑いした。だが、綺綺はみなの顔色を細かく窺っていた。そして、大人たちが実は綺綺を美人であると思っているのではなく、滑稽だから大笑いしていることに気付くと、天をもつんざく勢いで大泣きし始めた。私の友人たちは争うように綺綺を抱き上げて手を叩いたりあやしたりしながら綺綺に言い訳するのであった。

「お姫様、とってもきれいよ。メーサロン王国で最もきれいな妖精ね」

 綺綺が二歳半のときだ。字おばさんが学校の給食係として働くことになった。綺綺の面倒を見てくれる人も預かってくれるところも見つからない。私はいくら考えてもうまい方法が思いつかず、私は綺綺を学校に連れて行き、職員室で面倒を見るしか方法がないのであった。私が授業の時は用務員さんか授業のない他の先生に面倒を見てもらう。

 俗に娘を知るには母を知れという。この子の無法ぶり、そしてやかましさは、誰よりもこの私が一番よく知っているのであった。そのため、私はこの子を学校へ連れて行く前の数日間、私たちは我が家で徹底的に「緊急教育」を施した。

「学校にいたらおとなしくしていなければだめよ。さもなければ校長先生にお仕置き棒でお尻を叩かれるわよ。わかった?」と含み、何度も何度も繰り返して念を押した。

 綺綺にしても、今では面倒を見てくれる人がいないことを知っている。もし私の話を聞かなければ、心配しているように「アカ族に売り飛ばされて、竹籠に入れたまま茹でて食べられてしまう」という言葉のとおりになる恐れもあった。そのため綺綺は私の話に対して従順で、しっかりと心に刻みこんで私と約束したのであった。

 初めて学校の職員室に入ったとき、綺綺はもじもじして珍しく怯えているようなそぶりであった。眼をきょろきょろさせて周囲を見回している。私の同僚たちは以前から綺綺のことが大好きであったので、職員室でも代わる代わるやってきては綺綺を構ってくれる。|熊《シォン》校長も綺綺に手招きをした。綺綺はしばらく考えていたが、恐る恐る校長先生に近付いていったのであった。

 校長先生は綺綺を抱き上げて机の上に座らせた。そして名前と年齢を聞き、娘はそれに答える。

 そしてこんどは娘が校長先生に聞く番であった。

「校長先生のお仕置き棒は?お母さんが言ってたよ。校長先生はお仕置き棒で人を叩くんだって。本当なの?」

 それを聞いた校長先生は大笑いしてしまった。それにつられた同僚たちもクスクスと笑っている。こうなると私も諦めて笑うしかないのであった。しかし、綺綺がこんなことを言い出すとはさすがに思い至らなかった。


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