スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

中国語作品で読む 黄金の三角地帯とタイ北部

当サイトで紹介している「異域」が単行本として出版されました


>>>シャン州をさまよった女流作家曾焔 解説と短編の翻訳 作品一覧へ
>>>中国語作品で読む 黄金の三角地帯とタイ北部 番外編 もくじ


ことの始まりの二作品 「異域」と「金三角 辺区 荒城」

 とある縁から、絶版本となっている中国語の名著を原文で入手することができた。二作とも北タイ、黄金の三角地帯ゴールデントライアングル、最近では中国雲南省を加えて黄金の四角地帯とも呼ぶ)、中国国民党軍に関係する中国語作品である。この中国国民党関係者は、北タイ、ビルマ(ミャンマー)シャン州などに未だに数多くの人々が暮らしている。メーサロンメーサイチェンマイチェンライなど北タイを旅行する人々の間では、中国雲南省で戦われた国共内戦の結果、南へ落ちのびてきて、かつ台湾への撤退をも拒否してきた人たちであることから、中国国民党残党、Kuomintang、その頭文字を取ってKMTなどとも呼ばれている。また、彼らが暮らす村を中国国民党の落人村などと呼んでいるのも見かける。

 だが、中国で彼らの身に一体何が起き、どのようにここまでやってきて、どのように暮らしてきたのか。今までまとまった形で紹介している日本語の書籍にお目にかかったことがない。山岳民族や麻薬王のお話の脇役として登場するだけであって、彼らそのものには光を当ててはくれない。だが実は、少なくない数の中国語文献が存在している。

 一冊目の作品は「異域」という六十年代に書かれた作品で、中国国内での国共内戦に敗れた中国国民党軍将兵たちの大陸反攻の苦闘を伝える物語である。作者は、克保という無名の人間だが、これはペンネームであり、実は日本でも一時流行った「醜い中国人」の著者、柏楊である。※だが、柏楊もまたペンネームで、本名は郭定生というらしい。

中国語作品で読む 黄金の三角地帯とタイ北部 柏楊 異域 表紙

 この本は台湾のみならず、香港や東南アジアなどおよそ華人のいる土地で広く読まれ、一説には地下出版なども含めて二百万部という空前の部数を売ったともいう。八十年代には香港で映画化されるなど、中国人社会では、たいそうな名著であったらしい。黄金の三角地帯に関する書籍は片端から目を通し、日本では関係書にはほとんど通し尽くしたつもりであったが、中国語のタイトルについては思いがおよばなかった。この中国国民党軍の末裔たちが暮らすタイ北部の田舎町メサロン(メーサロン)に行くまで、このような著作があること自体、寡聞にして知らなかったのである。>>>作品のあらすじはこちら

 もう一冊は、「金三角・邊區・荒城」といい、柏楊が書いた作品だが、こんどはルポルタージュ形式となっている。一九八○年に、台湾の新聞社の依頼でタイ北部を訪れた柏楊が、取材の上に分析を加えたこの作品は、かの有名な麻薬王クンサーや、初代麻薬王である羅星漢、阿片戦争、インドシナ紛争と麻薬の関わりなど、黄金の三角地帯の成り立ち、東南アジアの冷戦にもかかわる「麻薬史」を時系列的に網羅している。

中国語作品で読む 黄金の三角地帯とタイ北部 柏楊 金三角辺区荒城 表紙

 さらに、タイ政界の黒幕とされるプレム大将の政界デビュー、共産化の危機にさらされていた当時のタイの情況、二世三世となった中国国民党軍の末裔がタイ社会に溶け込んでいく苦労など、日本語作品では空白となっている部分についても触れられている。>>>作品のあらすじはこちら

 両作品には、中国共産化後からベトナム戦争末期にかけて、東南アジアの中心にあたるビルマシャン州を中心とした地域一帯とほぼ一致する黄金の三角地帯を舞台に繰り広げられていた情況を活写している。そして、そこに共産主義者や中国国民党、また、ビルマやタイの華僑など、「中国」という存在がいかに関与していたか。そうしたことが、詳しく描き出されている。

 読み進めていくうちに、いままで目にしてきた黄金の三角地帯ものとは、質も量もはるかに上の水準を行くものであることがわかってきた。北タイやビルマ(ミャンマー)シャン州を訪れる旅行者ならば、ほぼ全員が興味を抱く内容でもあり、自身が丁寧に読むためにもあえて全文を訳出した。

 しかし、昨今の日本語出版市場で、このような本が日の目を見ることはまず難しい。できればこのサイトでも、訳文全文を掲載したいのだが、二作品を合わせると四百字詰め原稿用紙にして千枚近い分量となってしまい、公開にも閲覧にも大変な根気が必要だ。とはいえ、ここで諦めてしまうのも惜しい内容である。

 そこで、作品解説とあらすじを掲載しておくことにしたい。

 その前に、黄金の三角地帯について、日本人が持っている知識と、中国人が見る現実との違いを軸に解説を試みたいと思う。

中国語作品で読む 黄金の三角地帯とタイ北部 解説へ




スポンサーサイト

テーマ : タイ・チェンマイ
ジャンル : 海外情報

カテゴリ
Facebook Page
検索フォーム
ブログ記事一覧
プロフィール

deguchik

Author:deguchik
中国語で書かれた作品から、北タイやビルマ(ミャンマー)シャン州、黄金の三角地帯(ゴールデントライアングル)の歴史や風物を読み解いていきます。
個人のFACEBOOKページ
このサイトのFACEBOOKページ

Contact/ご連絡

Your name/お名前:
Your E-mail/メール:
Subject/件名:
Message/本文:

RSSリンクの表示
リンク
QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。